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楽園のごとき約束の島、ウルサーンにて産声をあげた民、ハイエルフ。彼らの起源はこの世界の誕生にも深く根ざしていた。文明化された古く偉大な種族の中でも、ハイエルフはとりわけ優雅にして気高い民である。彼らの前では、下等なる定命の者たちなど、誰であろうと無様で粗暴な存在に見えてしまうだろう。ハイエルフとは、それほどまでに高貴な民なのだ。

かつてハイエルフは、この世で最も偉大にして強大なる民であった。世界の歴史は彼らの行動によって形づくられてきたと言っても過言ではない。しかし現在、彼らは黄昏を迎えつつある……長く過酷な戦争の数々が彼らの偉大なる大国を引き裂き、ハイエルフは種族としての衰退を始めたのだ。ウルサーンに立ち並ぶ麗しき都の数々は、年月を経るごとに衰え、閑散としてゆき、もはやそこには快活な生命の躍動も音楽の響きも残されてはいない……ただ昔日の栄光をしのばせる“抜け殻”のようにたたずむのみである。しかし、逃れようのない緩やかな減衰の中にあってもなお、ハイエルフたちは断固として気高さを失わず、自らの運命に抗い続けているのだ。

ウルサーンの子ら[]

エルフは皆、美しく整った容姿を持ち、その姿を見た者は思わず息をのんで見入ってしまうほどだ。そして彼らの中でもなお、ハイエルフの見目麗しさは際立っている。ハイエルフは透き通るような白い肌を持つ。その均整がとれた顔立ちは、芸術的なまでに美しい。その髪は、亜麻糸のようになめらかだ。彼らの背は高く、その立ち振る舞いからは誇りと品格がにじみ出ている。人間と比べても、頭一つ分背丈の高いエルフは珍しくない。さらにハイエルフの体つきは細く引き締まっているため、彼らは華奢で脆弱であるという思い違いを受けることが多いようだ。しかし事実はまったく正反対で、エルフたちは、その容姿からは想像もつかないほどの力を持っている。そして、ドワーフやオークが持つ荒削りな頑丈さこそ持たないものの、ハイエルフはそれを補って余りあるほどの素早さと器用さを備えているのだ。

エルフは長命な種族だ。彼らは不老不死だという者もいる。さらに、疫病に対する抵抗力が人間よりはるかに強い。エルフのあらゆる身のこなしには、無駄のない優美さがただよう。また、彼らは頭の回転が速く聡明だ。ハイエルフたちは鋭い直観力と深い洞察力も有しており、この世のものならざる存在を見ることすらできる。それが、他の種族からはきわめて奇妙に感じられるようだ。ハイエルフたちは、ごく小さな身振りで意思を疎通させる。ほんのわずかな頷きや、目を細める仕草だけからでも、彼らは実に様々なことを読み取れるのだ。このように、ハイエルフはきわめて高貴な民であるため、侮辱を決して許さない。直接的な侮辱、あるいは侮辱を連想させる言葉などを原因として、ウルサーンの貴人らが相争ったり、他種族に対して戦争をしかけたことも、一度や二度ではないのだ。他種族の目から、ハイエルフの「気高さ」が、「冷たさ」や「横柄さ」、ときには「理不尽さ」と見られることもある理由は、この事実からも明らかだろう。

兵道とはひとつの芸術なり[]

種族としての衰退に対抗するため、ハイエルフには軍が必要不可欠だ……あまたの敵がしかけてくる攻撃を受け流すための、並ぶものなき練度を誇る精強な軍勢が。これをなしとげるため、すべてのハイエルフは幼い頃から兵法を教わり、また剣、槍、弓のあつかいも驚くほどの速さで熟練していく。この厳格な制度を維持することによってのみ、ウルサーンの民は減少する人口に反して軍を増強し、生存のための闘争を続けられるのだ。ウルサーン軍の中枢をなすのは、こうして鍛え上げられた市民兵たちである。彼らは熟達した戦士であり、純白の衣と輝かしい鎧を身にまとって、まばゆいばかりの光を放っている。貴族の家に生まれついた者たちは、壮麗なるエルフの騎士、シルバーヘルムとなってハイエルフ軍の先駆けをつとめるだろう。シルバーヘルムは並ぶものなき馬術の腕前を誇り、敵が築いた盾の壁へと突撃してこれを何度と無く粉砕し、鋭い馬上槍(ランス)の穂先で敵を次々と討ち取ってきた。ハイエルフの将たるもの、自らが指揮する兵たちの命の重みも熟慮せねばならぬだろう。ウルサーンの人口は年々減少の一途をたどっており、わずかな戦死者も、ハイエルフという種族にとっては極めて大きな痛手なのだから。

エルフならば誰しも、産まれながらにして優れた戦士としての資質を備えている。このため、彼らが武術を極めることに自らの長い生を捧げれば、世界でも並ぶ者がないほど恐ろしい兵となるのだ。あるいは、まったく別の理由や目的から戦場へおもむく者たちもいる……失望と悲哀につき動かされるようにして暴力の中へ身を投じる者や、叡智を求めてやまない者たちなどである。たとえば、ナガリィンのシャドウ・ウォーリアたちは、復讐のために孤立無援の闘争を続ける、暗く不吉な戦士たちだ。これと好対照をなすのは、ウルサーンの不死鳥王の近衛衆として名高い、チャラスのホワイトライオンだろう。彼らは気高く公正な戦士たちであり、不死鳥王を守る事にすべてをかけている。

ハイエルフたちの優れた芸術的素養は、なにも武術の面だけに発揮されるわけではない。ハイエルフが用いる武器や鎧もまた、彼ら自身の手になる高度な工芸品なのだ。ハイエルフが作り出し、身に帯びる武具や装具は、いずれも見事な細工がなされた優雅な品々ばかりである。彼らのの間で刀剣はしばしば父から子へと託されるため、古き血筋に連綿と受け継がれ、何千回となく戦場へおもむいた武具も少なくない。ハイエルフたちのまとう鎧は艶帷子(あでかたびら)と呼ばれ、鱗のように小さな金属片を繋ぎ合わせて作られた美麗きわまりないものだ。艶帷子は軽くしなやかで、それを身にまとう者は、まるで鎧など着ていないかのように、本来の素早さと敏捷性を活かすことができる。また、鎧か武器かを問わず、ハイエルフたちのあらゆる武具には美しい装飾がなされており、武具そのもの驚くべき芸術品として完成されている。陽光を浴びて凛然と輝く彼らの背高い兜には、しばしば精緻をきわめる微細なてん刻が施され、高価な宝石までもが埋め込まれているのだから。

他のいかなる種族も達することができない高みにまで、ハイエルフたちは魔術を発展させてきた。彼らは最初に魔法を学んだ者たちであり、今日でもなお、この世界において最も魔法に熟達した種族である。ハイエルフの故郷たるウルサーンの島を護っているのは、他ならぬ魔法の力だ。ハイエルフの賢人たちが力を結集し、この魔法を維持し続けなければ 、ウルサーンは波間へと永遠に没してしまうだろう。賢人が使いこなす呪文はきわめて強力である。彼らが解き放つ途方もない魔力は、数々の戦争でハイエルフ側に勝利をもたらしてきた。かつて人間たちに魔法を教えたのも、他ならぬハイエルフたちである。もっとも、オールドワールドに暮らす人間の魔術師は、その知識と技の両面で、エルフの賢人の足元にもおよばない存在だ。

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